不完全な私たちをやさしく包んだ、「ゆーきゃん あかるい部屋バンド」。
伸びやかな歌声が、あたたかなオレンジのライトと共に、観客を包む。
それは、不完全な私たちをゆるし、祝福し、ひとりひとりをかけがえのない存在にしてくれる。
あかるい部屋バンドを従えたゆーきゃんの奏でる音楽には、そんな魔法が宿っていると思う。
アコースティックギターの爪弾きと、透き通った空気を思い起こさせるキーボードとギターの音に、彼が今住んでいるという福井の冬を思う。
「ボロフェスタ2年目の準備期間に3分半で書いた」という「明けない夜」。
「そのまま光の中へ」と歌われるこの曲。
柔らかな光に満ち溢れたゆーきゃんの音楽、そしてそんな彼が引っ張ってきたボロフェスタの歴史を感じ、観客も聞き入っている。
触れると壊れそうにも感じる、彼の声。でも、ただ繊細なだけでは、
こんなに長い間続けられるはずがない。しなやかに響きわたりゆれるからこそ、こんなに長い間歌い続けていられるのだと思う。
皆でこぶしをあげて盛り上がる音楽ではないけれど、ひとりひとりの気持ちを映し出し、ゆるやかに繋ぐようなゆーきゃんの歌は、とても素敵だ。
「昨日より今日が、今日より明日が良くなるか分からないけれど、未来は明るいと言わなければいけないと思う」というMCの後、「太陽」でライブは締めくくられた。
15年続く重みを胸に、まだ見ぬ未来のボロフェスタへ、ゆーきゃんが架け橋をかけたような、そんなステージだった。