多彩に変化する音、幻想的で暖かな空間をそこに。渡辺シュンスケ[Schroeder-Headz、cafelon]
本祭1日目のどすこいステージのトップバッターは「渡辺シュンスケ[Schroeder-Headz、cafelon]」
主催のMCに呼ばれて、土俵がつくられたステージに
ハットが誰よりも似合う紳士が、微笑みながら登場。
セッテイングされたピアノのまわりのスペースは満ぱん。
それでも、さらに詰め切るように人が増えていく。
スタートの曲は「魚ごっこ」
やさしいを通り超えたかわいさをまとったサウンド。
ほんわかした雰囲気をつくり、そこから「surface」でテンポアップ。
鍵盤を叩く。音がはねる。そして、空間ごと音が浮上する感覚。
次に、朝に似合うゆるやかなイントロ「背番号」
子どもごころを思わす、ふとよみがえる思い出。
日常と小さな世界の憂鬱を、前向きな声と音で観客の頭の中を描く。
すると、前方から、ゆらゆら。ゆれる人が波のように連なって見える。
合間のMCで生の楽しさ、そして、集まったオーディエンスへの感謝を伝える。
また、その空間を楽しませるように軽やかなテンポアップ。暖かな音の連打。
そして穏やかな午後に抜群に合った「コーヒー」
繰り返すサビの美声に、洗練されたおしゃれな香りが漂う。
ラストの曲で、その音のせつなさに人が誘われる。人は増え、足を止めて。
大きく、大きく、広がる音の光景は幻想的で映画のラストシーンに相応しい。
やわらかい音を観客のこころの芯に残して、両手を振り、微笑みと共に音を止めた。
数え切れないアーティストのライブ、
レコーディングに参加するなどの多彩な姿を持つ。
今回は、変化する暖かなメロディで
ソロアーティストとしての魅力を存分に伝えた。
そこで、観客に届き生まれた想いはかたちとなり、
拍手に添えて送られた。